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注意欠陥多動性障害(ADHD・不注意型)と診断された子どもの叱り方・対応方法

投稿日:2017年4月4日 更新日:

少し前までは周知されてなかったADHDですが、ここ数年で認知が進み、診断される子どもも増えてきましたよね。大人になってから気付く人も多い障害としても有名です。ADHDで悩んでいるのは、本人だけではありません。その親たちも、悩みはたくさん持っています。

 

・いつもぼーっとしていて話をしていても聞いていないようだと感じる

・友達の靴を何度も間違えて履いて帰ってくる

・持ち物をよくなくす

・ものの取り違えが多く、ほかの人のものがよくかばんに入っている

・常に行動が遅く同じ年齢の子と一緒に行動するのが難しい

・遊んでいるときによくケガをする

・どんな場所でもずっと話している

・年齢に応じた身支度が全くできない

・何度も同じ注意をしなければならない

・おもちゃが散乱する、片付けようとすると次から次に遊んでしまい全く片付けができない

 

など、悩みは幅広いです。子どもの障害を知っていても、何度も注意するのは親も疲れますし、いつかは自立しなければいけないわけですから、心配も大きいですよね。親がいなくては生活できない子どもにはなってほしくない……これが親の願いなのではないかと思います。そこで今回は、ADHDの子どもへの注意の仕方に悩む親たちのために、対応方法をまとめてみました。

 

  • ADHD(不注意型)の特性を知る

まずはADHDの特性を知ることが重要です。

・状況判断が苦手

・相手の気持ちやその場の空気を読むのが苦手

・片付けや整理整頓が苦手(物理的なものや考えや思考も)

・時間が守れない

・刺激に反応しやすい、思い付きで行動してしまう

・好きなことは集中してできる

・行動がおっとりしている、遅い

・手先が器用

 

これらが代表的なADHDの特性です。このほかに、子どもによって性格も違いますので、子どもに合わせた理解が必要ですね。

 

  • 子どもの行動に違和感を感じたら、専門家に相談する

ADHDは診断が早い方が、特性に合った配慮や対策を得られやすいというメリットがあります。周囲の大人がADHDということを知らないままだと、無理やり改善させようとしたり、注意されたり、苦手分野を強要されたりして、子ども自身が辛い思いをすることも。また、親も何度注意しても的を射てなければ改善されないので、結果何度も同じ注意をすることになり、疲れてしまうだけです。

 

子ども自身が深く傷つくことも少なくなりますので、親が「あれ?」と思ったら、まずは身近な専門家に相談しましょう。精神科や心療内科が専門ですが、小児科のほかに園や学校のカウンセラーでも相談できます。

 

  • 注意は一度に一つにする

目につくことからいくつも注意してしまいがちですが、注意するときは一つずつにしましょう。一度にいくつも注意すると、たくさんのことを処理するのが苦手なADHDの子どもは、混乱してしまいます。確実に注意を届けるためにも、一つずつ伝えるようにしてみてくださいね!

 

  • 注意するときや説明するときは、静かで興味のそそるようなものが見えない場所で

ADHD不注意型の子は、定型発達の子よりも周囲の刺激に気が散りやすい特性があります。興味関心が移ってしまうと、もうこちらの指示や注意は耳に届かない……なんてことも。注意する側が疲れてしまうだけなので、普段から意識してみてくださいね。

 

  • 声かけは適度な大きさと速さで

伝えやすくするために、と思って大きな声で言ったり、ゆっくり話したりしてしまう人もいるかもしれませんが、それは逆効果です。子どもからしたら逆に聞き取りにくいと感じてしまうこともありますので、普通の話し方で伝えて!

 

  • 話す前に「今から話すから聞いてね」と声をかける

これをすることで、「自分に話しかけられている」という認識が生まれます。聞いているようで聞いていない……という状態に悩んでいる人には、ぜひ試してみてほしい方法ですね。

 

  • やることを順番にリスト化(視覚化)して親も一緒にチェック!

ADHD注意型の子どもは、一つずつしか処理できず、物事の順番を記憶することもとても苦手です。そんなときはまず紙にやることリストを作りましょう。そしてそれを親も一緒にチェックすることで、子どもも理解しやすく、忘れることが少なくなります。言葉だけよりも視覚を使って指示を出すと伝わりやすいですね。

 

  • 何かを説明するときや警告するときに、注意がそれていると感じたら手をたたく

注意散漫になりやすく、話をしたいのにほかのことに注意がそれていると感じた場合は、パンパンと手をたたいて注目を集めます。学校や幼稚園の先生などもよく手をたたきますよね。ポイントは「声ではない音」という点です。

 

  • 整理整頓が苦手なら、ものの定位置を決める

ものを片付けるというのがとても苦手なのが、ADHDの特性でもあります。部屋が常に散らかっている、片付けようとしてもできないなどの場合、「何をどこにしまえばいいのかわからない」という状態になっている可能性も。その場合は、ものの定位置を決めてしまうのが手っ取り早いですね。ケースの外側に名前を書いたり、写真を付けたりして、何をどこに直すのか決めてしまいましょう。

 

  • おもちゃが散乱する場合はルールを決める

家の中が常におもちゃであふれかえっているのは、親としては辛いですよね。しかし、片付けが苦手なのがADHDの特性。この場合、遊ぶ際のルールを決めてしまいましょう。

  • 出していいスペースを決める
  • 片付ける箱を一つにする
  • 出していいスペースだけで遊べたり、片付けができたら褒める

この3つがルールです。

 

小さい頃は片付けができないなんてよくあることですが、幼稚園に行き出したりしてもそのまま……となると親も不安ですよね。ADHD注意型の子どもは、片付けをしていても、新しいおもちゃに興味がそれたらそれで遊んでしまうので、部屋が全く片付かないのです。片付ける箱を一つにすると、場所を覚えたりしなくてもいいので比較的片付けしやすいですね。

 

  • 片付けるタイミングを決める

一度出したらしまう、作業のたびに片付ける、など回数が多かったり、興味が移る前に片付けをするのは難易度が高くできない子が多いです。片付けるタイミングを決めて、出しっぱなしでもOKな時間を作ると、親も気が楽になります。食事の前、お風呂の前、寝る前など、おうちルールを定めましょう。

 

  • 何かを始めるとき、事前に終了時間を教えておく

時計が読めない年齢の子の場合は、「長い針が3のところにきたらね」など、具体的に伝えるようにしましょう。見通しが立って次の行動に移りやすいです。

 

  • 待たせているときは気付かせる声かけを

「急ぐ」という概念がわかっていないので、「急ごう!」と声かけをして、実際に小走りで場所まで連れていくなどの工夫が重要ですね。一緒に行動することで、徐々にわかってくれるようになります。

 

  • 身の回りの支度ができないのは、理由があるのかも

普通では全く気にならないことでも、異常に気にしてしまうことがあります。洋服のタグや歯ブラシの感覚など、親からすると「そんなのどうでもいいじゃん」と思ってしまいますが、一度気になりだしたら止められません。まずは、何を気にしているのかを聞いてあげましょう。

 

できない理由がわかったら、工夫できるところは改善して様子を見てみて。工夫してみたからといって、すぐにできるようになるわけではありません。昨日よりできるようになったら褒めるを繰り返して、少しずつできるようにしていきましょう。

 

  • 最低限に絞って対策をする

対応策はたくさんありますが、いろいろやりすぎるとそれがストレスになる場合もあります。生活するうえでどうしても困ることだけ対策し、工夫して生活しましょう。

 

  • 好ましくない行動だけを叱る

人格を否定する叱り方は良くありません。「これをしたあなたが悪い」ではなく、「これはしてはいけなかったね」と良くない行動だけを叱るのがポイントです。子どもを主語にして叱らないように心がけましょう。

 

  • ルールを決めて話すようにして

話が止まらなくなりずっと話しているのは、思っていることや気になったことをすぐに口に出してしまうからです。決して本人に悪気はないので、注意されたところで「自分が悪かったから直そう」という思考には至りません。ですから、「お口チャック」と言われたら少し我慢するなどのルールを決めてみましょう。音が鳴ったら静かにするなどの決まった合図を決めておくのもおすすめです。

 

  • やってはいけないことは?

・大きな声でゆっくりと声かけをする

これは良いことのように思いますが、実は子どもからすると聞き取りにくくなってしまいます。普通の大きさ、普通の速さで話しかけるように心がけてみてくださいね。

 

・子どもを主語にして叱る

子どもを主語にした叱り方は、人格を否定していることになります。ADHD不注意型の子は、決してわざと困らせようとしているわけではありません。行動が遅かったり、困ったことをしていても、そういった自覚すらないことの方が多いのです。また、自覚している場合は「なんで自分はこんなに遅いんだろう?」と悩んでいる可能性も。一緒に解決策を見つけてあげる姿勢が重要です。

 

  • まとめ

ADHD不注意型の子は、おっとりしていておとなしいことが多いので、小さい頃は育てやすいといわれることが多いようです。幼稚園や小学校へ行くまで気付かないことも普通にあります。時間が守れないなどの特性は、家庭ではなかなか気づきにくいですよね。先生の指示が覚えられないなど、本人も困っている可能性が大いにありますので、子どもの様子を観察して親が気付いてあげることが重要ですね。指示を視覚化するなどの配慮や対策が重要です。

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