不妊検査では、
・排卵全般に関する検査
・子宮内膜症などの障害検査
・着床に関する検査
・抗精子抗体に検査
・性交障害に関する検査
など様々な側面から不妊の原因を検査・治療を進めて行きます。
では、不妊治療を行ったから必ず妊娠出来るのか?
と言うと、残念ながらそうではありません。
それはなぜか?
不妊治療では、上記の通り様々な検査を行い治療を進めて行きますが、
原因となるものが見つからないのに妊娠にいたらないケース
というのも残念ながらあります。
この不妊の原因になる異常が何も見つからない場合を原因不明不妊と呼びます。
原因不明不妊は不妊原因全体の10~20%もの割合を占めています。
※原因不明不妊は機能性不妊と呼ばれる場合もあります。
原因不明不妊が減らない理由
不妊に対する治療を進める際の検査方法や検査手順については、その原因が多岐に渡る事から病院や医師の考え方によってかなり違います。
例えば、腹腔鏡検査をするとそれまでの検査ではわからなかった子宮内膜症や癒着が見つかることがよくあります。
腹腔鏡検査をすれば原因不明不妊の10%を切るとも言われています。
あれ?原因不明不妊は10~20%を占めているんじゃ?という疑問が沸きますよね?
原因不明不妊が割合が減らない理由ですが、以前は腹腔鏡検査などにより不妊原因を徹底的に調べる事が多かったのは事実です。
しかし、体外受精の普及により腹腔鏡検査を行う事が少なくなりました。
なぜ体外受精の普及が原因不明不妊の割合が減らない理由になるのか?
という疑問に対する答えとしては、
それは体外受精は殆どの不妊原因に対して非常に有効な治療だからです。
となります。
ここでもう一回不妊治療の目的に目を向けると、
不妊治療の目的は妊娠する事です。
腹腔鏡検査など体への負担が大きい検査をして原因をつきとめなくても、体外受精で妊娠すればよいという考え方です。
検査項目が増えれば増えるほど身体的・肉体的負荷に加え費用・時間など、治療者への負担が大きくなり治療期間も長くなってしまいます。
こうした背景もあり、原因不明不妊の頻度は高くなっています。
検査では分からない卵管のピックアップ障害
原因不明不妊が10~20%を占めている状態なのはご紹介した通りです。
その原因不明不妊のなかで大きな割合を占めていると考えられているのは、卵管のピックアップ障害です。
卵巣から卵胞液とともに流れ出した卵子は、卵管采に捕捉され卵管のなかに運び込まれますが、卵管が卵子をうまく取り込めない場合があります。
この状態をピックアップ障害と呼びます。
それなら、ピックアップ障害の検査をすればいいんじゃないの?
と思われるかと思いますが、残念ながらこのピックアップ障害があるかどうかを調べる検査方法が未だにないのです。
ピックアップ障害があると、タイミング指導や人工授精を行っても卵子を取り込めないわけですから妊娠出来ません。
しかし検査法自体も無いため、ある程度の期間これらの治療を行っても妊娠しない場合には、体外受精へのステップアップを考える必要があるのです。
原因不明不明の原因と推測される病態
一般検査で問題がなかったとしても、精密検査をすると原因がわかることも少なくありません。
原因不明不妊の原因ではないかと推定される病態には次のようなものがあります。
①卵管のピックアップ障害
②軽度子宮内膜症
③軽度腹腔内癒着
④精子機能障害
⑤卵子の質が悪い
⑥受精障害
⑦内分泌異常
⑧免疫異常
障害や異常と判断する為の検査があるものや無いものが入り混じっていますが、不妊治療の目的は妊娠する事です。
不妊治療は高額な治療費に加え長期化する事が殆どですので、原因不明のまま体外受精などの有効な治療法で対処しているのが実態と言って良いでしょう。