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妊娠中にお酒を飲んではいけない理由、知ってる?妊娠中のお酒と赤ちゃんへの影響

投稿日:2017年5月7日 更新日:

妊娠前まで晩酌が趣味だった女性にとって、「妊娠したらお酒をやめる」というのは辛いものがあるかもしれません。妊娠初期のころは、妊娠の実感がまだ持てず、無意識のうちにお酒に手が伸びていた……なんて女性もいるのではないでしょうか。

 

・妊娠前は晩酌が当たり前だったので、影響がないか心配

・妊娠中は少しもお酒を飲んではいけないの?

・妊娠中お酒を飲むと何がいけないのか、どんな影響があるのか知りたい

 

など、妊娠中の飲酒だけではなく妊娠前の飲酒にも影響があるのでは?と不安になっている妊婦さんもいるようです。大切なわが子に何かあっては、自分の行いを後悔することになりかねません。きちんとリスクを知って、赤ちゃんへの影響を最小限にできるようにしましょう。

 

  • アルコールは胎盤から胎児へ直接届く

子宮内で母体と赤ちゃんとをつないでいる胎盤は、赤ちゃんへ有害物質が届かないようにフィルターのような役割をしています。しかし、アルコールは有害物質として遮断されず、赤ちゃんに直接届いてしまうのです。妊娠中にお酒を飲むということは、まだ小さな赤ちゃんにもお酒を与えていることになります。

 

  • 胎児は肝臓の機能が未発達なためアルコールの分解に時間がかかる

大人が摂取したアルコールは、肝臓で分解され尿と一緒に排出されます。しかし、胎児は、当たり前ですが大人よりも肝臓の機能が未発達です。そのため、胎盤を通して入ってきたアルコールは、赤ちゃんの体内に長い時間残ってしまいます。

 

  • 胎児性アルコール症候群を引き起こす原因となる

妊娠中の飲酒は、胎児性アルコール症候群の原因となります。

 

胎児性アルコール症候群(FAS:Fetal Alcohol Syndrome)とは?

病因としては、エタノール及びその代謝産物であるアルデヒドが関与し、これらは胎盤を通過し、胎児細胞の増殖や発達を障害すると考えられています。つまり、お腹の赤ちゃんの発達や成長に影響を及ぼすことがあるということですね。

・低体重や低身長など、お腹の中での発育が遅く、出生後も成長が遅れる傾向がある

・頭囲が小さい、顔面の形成不全、奇形などの特異的な容姿、難聴などの身体障碍

・ADHDやうつ病など、中枢神経障害があらわれる場合もあり、影響は学童期以降にも及ぶ

などとされていて、胎児の期間だけでなく、成長してからもその発達を阻害することがあります。アルデヒドは、二日酔いや頭痛の原因になる物質です。大人の私たちでも健康状態に影響がある物質なのですから、胎児に多大な影響を与えることは容易に想像ができますね。

 

  • 胎児性アルコール症候群にならない安全な飲酒量はわかっていない

1日のアルコール摂取量と胎児への影響は

15ml未満 胎児への影響は少ない

90ml以上 奇形の発生が明らかに高くなる

120ml以上 胎児性アルコール症候群発生率30~50%

といわれています。アルコールの換算量は、ワインならグラス一杯、日本酒ならコップ1/2、ビールなら350ml缶1本ほどの量です。日本人は黄色モンゴロイドといわれる分類で、もともとアルコールの分解力が低いんだとか。飲酒量が少量でも、胎児性アルコール症候群を発症しているケースもありますので、胎児への影響が少ないとされている15ml未満でも絶対安心とは言えません。また、先天性奇形や子宮内胎児発育不全などは、飲酒をしていない妊婦さんでも起こることがあります。アルコールを飲んでしまったからといって、必ず胎児性アルコール症候群になるとは限りませんし、アルコールを飲んでいなくても、奇形児や発達障害児が生まれる確率はあるのです。

 

胎児性アルコール症候群を防ぐには、妊娠中にお酒を飲まないことで防ぐことができます。そのほかにもリスクはあるとしても、飲酒を控えるだけで大幅に奇形児等のリスクが下げられるわけですから、気になる妊婦さんは多いですね。

 

  • 胎児性アルコール症候群のリスクが上がる場合

日本では、35歳以上の初産の妊婦さんは高齢出産といわれています。高齢出産の場合、胎児性アルコール症候群のリスクが高まるといわれていますので、より注意が必要ですね。妊娠を希望したときから、お酒を控える生活を心がけると安心です。

 

  • 基本的にアルコール類は飲まない

アルコールによる胎児への悪影響を避けるためには、アルコールを摂取しないことが一番です。また、飲酒だけでなく、お菓子に含まれる洋酒などのアルコールや、チョコレートの中のウイスキーなども影響がないとは言えません。さらに、ノンアルコールドリンクの中にも、微量にアルコールは含まれていますので、妊娠中の摂取は控えた方がいいかもしれませんね。

 

  • 妊娠中のどの時期も、飲酒による胎児性アルコール症候群のリスクがあります

・妊娠0~4週の妊娠超初期(前回の生理開始日からの32日間)

胎盤形成前なので、胎児への影響は少ないとされています。妊娠に気付かずに飲酒してしまっても、気付いた時点で控えることができれば、胎児性アルコール症候群になる可能性を低く抑えられるでしょう。この時期にお酒を飲んでしまったというママも、その後元気に生まれ育っている赤ちゃんもたくさんいます。ただし、大量の飲酒は胎児性アルコール症候群や流産のリスクがありますので、妊娠に気付いたらすぐ禁酒、もっと言うと妊娠を希望した時点で禁酒するのがおすすめです。

 

・妊娠4~15週の妊娠初期

赤ちゃんの臓器や体が作られる「器官形成期」と呼ばれる時期です。飲酒による胎児への影響は非常に大きくなりますので、飲酒には注意が必要ですね。特異的な容貌や奇形を引き起こすリスクが高まります。

 

・妊娠16週以降の中期から後期

この時期の飲酒では、子宮内胎児発育不全や、中枢神経系異常につながりやすくなるといわれています。未熟児などの原因にもなりかねないので、飲酒は控えましょう。

 

・出産後、授乳期

出産後の飲酒は母乳に影響します。母乳は血液によって作られるので、飲酒による血液のアルコール濃度と母乳のアルコール濃度はほぼ同じです。授乳期間中の赤ちゃんは、まだまだ肝臓機能が未熟ですから、アルコールの分解力も低く負担がかかります。飲酒しなければいけない時は、十分に時間を空けて授乳するか、粉ミルクで代用するなどの措置が適当でしょう。医師によっては、少量の授乳は問題ないとする医師もいますので、信頼できる医師に相談するのもいいですね。

 

  • ストレスを感じるときはノンアルコールドリンクで雰囲気を楽しんで

妊娠前にお酒が大好きだった人にとっては、妊娠して禁酒するということは過剰なストレスになる場合もあります。そんなときは本物のアルコールドリンクよりも無理なく飲めて、胎児への影響も少ないノンアルコールドリンクを活用してみて下さい。アルコール含有量が1%未満であれば「ノンアルコールドリンク」として発売できるので、表示を確認して「アルコール0.00%」のものを選ぶようにしましょう。

 

  • 医師でも判断が異なる

絶対に飲んではいけないという医師もいますし、ストレス軽減のためにある程度は許可する医師もいます。実際に、絶対に大丈夫という飲酒量がわかっていないので、医師のさじ加減によるというわけですね。しかし、妊娠中の飲酒では胎児性アルコール症候群のリスクが必ず上がります。もし何かあったとき、自分を責めないためにも、禁酒を勧める医師が多いのは当然です。発達障害や命の危険があった場合、その子どもを育てていくのは、誰でもない自分であるということを忘れないでくださいね。

 

  • やってはいけないことは?

・ノンアルコールドリンクを何本も飲む

ノンアルコールドリンクにも微量ですがアルコールが含まれています。大量に飲んでしまうとむくみの原因にもなりますし、知らないうちに結構な量のアルコールを摂取していた……なんてことも。適度な量で抑えましょう。

 

・少量だから大丈夫と毎日飲酒する

少量でも、毎日アルコールを摂取しているとかなりの量を飲んだことになってしまいます。自分は酔いがさめて「また0から」という認識かもしれませんが、赤ちゃんはアルコールの分解に時間がかかるので、長時間アルコールが体内に残った状態になっている場合も。胎児性アルコール症候群のリスクが高まりますので、絶対にやめましょう。

 

  • まとめ

妊娠中の飲酒は、胎児性アルコール症候群のリスクが高まることがよくわかりましたね。実際には、妊娠中に飲酒をしていた経験のある女性も多いのではないかと思います。しかし、他の人が大丈夫だったからといって、自分も大丈夫とは限りません。もしかしたら自分の子だけが、発達障害や奇形を持って生まれてくるかもしれない……妊娠中の飲酒はリスクがあることなんだということをきちんと理解しましょう。

 

胎児性アルコール症候群の予防は、妊娠中にアルコールの含む食品を食べない、飲まないことしかありません。お酒が大好きだった妊婦さんにはつらいかもしれませんが、赤ちゃんが生まれて授乳が終わるまでの間だけ、我慢しましょうね。出産まで耐えることができれば、授乳を粉ミルクで代用して飲酒することも可能になります。産後初めてお酒を飲むときは、妊娠中大好きなお酒を我慢して、これまで育児に奮闘した自分を褒めてあげてくださいね!

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